奥底の感情

帰国後、一番初めに気付いた事は「息苦しい」という感情だった。
他人が他人の事を必要以上に気にし、自らも人の目を気にする(その割には無神経にも電車の中などで、気持ち悪いほどに至近距離に立たれたりするので、とても驚かされる)。それだけじゃないが、全てにおいて、息苦しいのだ。
まあ、恐らくこの小さな島国の中で、これだけ多くの人間が住むのだから、致し方ない事なのだろうけど、僕にはそれが辛かった。

今回の旅というのは、「自分の気持ちの確認」という意味合いがとても大きかった。
大学卒業後、アジアへと無期限の旅に出て、そしてその一年間後、日本へと帰ってきた。

しかしその旅の中で、多くの友人を失い、僕自身もギリギリの状態となり、帰国した時には自分が誰だかも分からない、記憶障害になっていた。帰国前の銃撃戦の最中、絶対に弾に当たらないと言い、真ん中で平然と食事をしていた。
あの時の僕は完全に危うい感じだったと思う。
そして旅の終わりとしては、最悪のものだった。

しかし、旅で失ったものは旅の中でしか見つけられない。
荒治療でもなんでもいい。僕は自分の心と記憶を取り戻さなければならないと思い、その後、再び海外に出て、各国を周った。

その最後に再びアジアへと訪れ、帰国後には日本で刺龍堂というスタジオを出した。その後は多くの人達の知るとおりだ。

しかし、よくよく考えてみれば20歳の時、一番初めに海外へと出た理由というのは「日本で生きるのが息苦しい」と感じたからであった。

スタジオを出してからは、家の事もあり、この国を離れる事は出来なかった。
でも、今は違う。

という事で今回、僕は自分自身の気持ちの確認の旅へと出たのだった。
そして、今まで幾度となく訪れたこの国々で、その気持ちの再確認する事が出来た。

僕にとっては安定や平穏というものはあまり重要ではない。
緊張感や、刺激、自らが生きていると実感出来るような、感情を揺さぶられるような場所で生きる事が何よりだ。(こういう事を言うとぶっ飛んでると思われそうだが)

防衛戦は得意ではない。
いつまでも挑戦者であり続けたい。
例え、それが失敗したとしても、ずっとずっと攻め続けて生きていきたい。

あと一週間で死ぬと言われた時、こんなところで死にたくはないのだ。
僕にとって、何が大事で何が必要か?その答えが確認出来た。
それは世界のどこかで手に入るものではなく、自分の中に眠っていたもの。
あとは、その一歩を踏み出すだけだ。

 

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