刺龍堂らしさ

この仕事を続けて、何だかんだ結構な月日が流れた。
来年はいよいよ10周年だ。

そもそもこの仕事を始める前、僕の周囲には刺青やTATTOOというものを入れている人間、また興味のある人間なんていなかった。(それは今でも大差が無いが)

そんなものを入れるヤツは相当、頭が悪いか、社会的不適合者だろうという考えが一般的だった。

そう、確かにそういうイメージが強いんだよな。
僕自身も、そのように考えていた。

それでも、この道に進もうと思ったのは、そんなイメージを変えようと思ったから。いや、そんな大それた事ではない。人を変えようというよりも、そういうイメージではないものを自分自身が作りたかったからだ。
(入れようと思ったのは、単純に子供の頃から興味があったからだが。そして一般的なイメージと少し違ったのは、考古学という道を進む過程で、学術的な見方が出来たというのもある)

だから、僕にとってロックなイメージでも無ければ、反社会的なイメージでも、不良でやんちゃなイメージでもなく、全く別のアプローチでこの刺龍堂というスタジオを作りたかった。

見た目的にも、「ああ、刺青が入ってそうだね」というイメージになる方向性だけは避けたかった。

何故なら、もしそうであれば、それはもう別に「刺龍堂」でなくても良いわけなのだから。

でも、だからといって別にこれまでの刺青やTATTOOを否定するわけではない。
伝統の世界でこれだけ長い間、受け継がれているのは本当に凄い事だ。僕には出来ない。あれだけ綺麗で色鮮やかな世界が作り出せるなんて、本当に素晴らしい。

僕が言いたいのは、ただ単純に、それ以外の世界があっても良いんじゃないかという事だ。
ごくごく普通の人達が、ごくごく自然体で付き合えるような。(*実際、僕自身、彫師どころか入っているようにすら見られない)

事実、スタジオにいらっしゃる日本のクライアントは、ごく普通の会社に勤める方などが多い。周囲に刺青やTATTOOを入れている人間が多いという人も、そう多くはいない。むしろ、周囲に入れている友達すらいないという事が、至極、当たり前だ。

まだまだ自分の考えるビジョンには程遠いが、こうやってこの10年間(池袋の2年を含めて)、沢山の人達が来てくれたおかげで続ける事が出来、「刺龍堂らしさ」が確立されてきたと思う。

一体、何が刺龍堂らしさかと問われると一言で表現するのは難しいが、「刺龍堂」というイメージそのものが「それ」だと言えるよう、この先も一つ一つを頑張っていきたいと思う。

どこに所属する事もなく、何にも囚われる事なく、あるがままに。

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